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ひとり暮らしの防災備蓄|完璧を目指さない「ちょうどいい備え」

防災リュックを見直す女性と、水や懐中電灯、缶詰などの防災用品を描いた、ひとり暮らしの「ちょうどいい備え」を紹介する記事のアイキャッチ。 これからに備える

防災のことは気になっているけれど、「ちゃんと備えよう」と思うと、急にやることが多く感じませんか。水、食料、簡易トイレ、防災リュック。必要なものを調べ始めると、あれもこれもとなって、結局あと回しになってしまうんですよね。

私も、完璧にそろえているわけではありません。防災リュックにはまだ入れられていないものもありますし、自宅の備蓄も、少しずつ見直している途中です。だから今は、まず家にあるものから始めて、足りないものだけ買い足すようにしています。

今回は、ひとり暮らしの私が続けている、完璧を目指さない「ちょうどいい備え」についてお話ししますね。

防災リュックと自宅備蓄は別もの

防災のことを考え始めた頃は、必要なものを全部ひとまとめに考えていました。でも、テレビの情報番組で、避難するときに持ち出すものと、自宅で過ごすために置いておくものは分けて備えるといい、と話しているのを見て、なるほどと思ったんです。

私が持ち出し用のリュックに入れているのは、絆創膏、笛、厚手の靴下、軍手、アルミブランケット、携帯トイレ、懐中電灯、マスク、携帯ラジオ、手指消毒液、除菌ウェットティッシュなど。そこに、500mlの水を2本と、すぐ口にできるものを少し入れています。

防災リュックを開き、水や懐中電灯、ラジオ、アルミブランケットなどの持ち出し品を確認する女性のイラスト。

とはいえ、まだ完璧ではなくて、「入れておかないとな」と思いながら、貴重品まわりはまだ準備できていないんです。

一方、自宅には、水や電池、簡易トイレなどを別に置いています。避難するときに持って出るものと、家で過ごすために使うもの。この2つを分けて考えるようになってから、「何をどこに備えるか」が少し見えやすくなりました。

それから、ベッドの下には靴を、枕元には懐中電灯を置いています。靴を置くようになったのは、過去の震災を経験した友人の話がきっかけでした。割れたガラスなどが散らばっていて、玄関まで行くのに裸足では無理だったそうなんです。寝ているときに何かあっても、すぐ履ける場所に靴があれば少し安心かなと思っています。

全部を一度にそろえようとしなくても、まずは持ち出すもの、自宅に置いておくもの、と分けてみるだけで、ずいぶん始めやすくなります。

いつもの食べ物も、非常食になる

非常食というと、長期保存できる特別な食品を用意するイメージがありました。考え方が少し変わったのは、実家の火災保険を担当してくれていた方が、「非常時に備えて普段からオートミールを食べている」と話していたのを聞いてからです。

70代の男性の口から「オートミール」という言葉が出てきたのも意外だったのですが、それ以上に、普段食べているものをそのまま備えにするという発想が印象に残りました。私はもともと朝食にオートミールを食べていたのに、それが非常食になるという意識はまったくなかったんですよね。

オートミールは水やお湯でふやかせば食べられるので、火が使えないときにも対応しやすい食品です。ただ、苦手な人まで無理に備える必要はないと思っています。一度食べてみて「これはちょっと苦手だな」と思ったら、フリーズドライ米やアルファ化米など、自分が食べやすいものを選べば十分です。

チキンラーメンは、袋の上から割ってそのままスナック菓子のように食べることもできますし、水に浸して時間を置けば、やわらかくして食べることもできます。普段から買っているものなので、ローリングストックもしやすいんです。

羊羹も、最初から非常食用を買わなくていいかなと思っています。コンビニやスーパーで売っているミニ羊羹をひとつ多めに置いておいて、賞味期限が近づいたらおやつとして食べる。食べたら、また買い足す。そんなふうに、普段の暮らしの中で無理なく回していけるものを備えるようにしています。

オートミールやチキンラーメン、羊羹、缶詰など、普段食べるものを少し多めに備えているキッチン棚のイラスト。

「買っただけ」で終わらせず、一度使ってみる

防災グッズも非常食も、買っただけで安心してしまいがちです。でも、いざというときに初めて使うのは、やっぱり不安なんですよね。

懐中電灯はちゃんと点くか。
ラジオは使えるか。
簡易トイレはどう使うのか。
非常食は自分の口に合うか。
一度試しておくだけでも、「持っている」から「使える」に変わります。

特に食べ物は、普段から食べ慣れているもののほうが安心です。非常時は、いつもと違う環境で過ごすだけでも負担が大きいはず。だからこそ、せめて食べるものくらいは「知っている味」があると、少し気持ちが落ち着くんじゃないかなと思います。

面倒なら、防災セットから始めてもいい

ひとつずつ防災グッズを選んでそろえるのが面倒なら、市販の防災セットから始めるのもひとつの方法です。必要なものがある程度まとまっているので、「何から買えばいいかわからない」という人にも始めやすいんですよね。

私が見てみた1人用の防災セットには、保存水や非常食のほか、ラジオライト、ランタン、簡易トイレ、アルミブランケット、救急セット、ホイッスルなどがまとめて入っていました。リュックの容量は約30L、セット全体では約5kgです。


ただ、セットを買えばそれで終わりではなく、自分に必要なものが入っているかは一度確認しておきたいところです。普段飲んでいるものや、必要な衛生用品、食べ慣れているものなど、自分に合うものを少し足していく。それから、実際に自分で背負える重さかどうかも見ておくと安心です。

全部を自分で選ぶ方法でも、セットから始める方法でも、続けやすいほうで大丈夫です。

完璧じゃなくても、備えてあるだけで少し安心

防災のことを考えると、「まだ足りない」「これも必要かも」と、どんどん不安になることがあります。でも、最初から完璧にそろえようとすると、かえって何も始められなくなってしまうんですよね。

家にあるものを集めてみる。
足りないものをひとつ買い足す。
食べてみる。
使ってみる。
期限が来たら入れ替える。
そのくらいの小さな積み重ねでも、何もしていない状態とは違います。

専門家がまとめた防災リストは、もちろん参考になります。でも、完璧にやろうとして始められないくらいなら、自分が使えて、食べられて、続けられるものから、自分に合う順番でそろえていけばいい、というのが今の私の考えです。

ひとり暮らしの防災も、完璧を目指すより、自分に合う「ちょうどいい備え」を少しずつ増やしていけたらいいなと思っています。


※備蓄品や非常持ち出し品の目安については、政府広報オンライン「災害時に命を守る一人ひとりの防災対策」も参考になります。地域によって必要な備えは異なるため、お住まいの自治体の防災情報もあわせて確認してみてください。

政府広報オンライン「災害時に命を守る一人ひとりの防災対策」